現場の知識を活かして販売!

上田 七加 さん

上田 七加 さん

北十勝ファーム(有) 総務
1986年生(30歳)
帯広畜産大学別科を卒業後、女性では珍しい人工受精師となる。7年間キャリアを重ねた後、故郷北十勝ファームに戻り、事務的な仕事全般から農場の現場仕事までパワフルにこなす上田家の長女。

2017.7.15
現場の知識を活かして販売!
第28回は前回に続き北十勝ファームで営業から販売、広報、そして現場の仕事と忙しく働く上田家の長女、七加さんにお話を聞きました。人工授精師として精力的に仕事をこなしていた七加さんですが、28歳の時に退職して北十勝ファームに帰ってきました。
生真面目な弟の圭豊さんとは対照的な彼女。昼食にラーメン+カツカレーセットでエネルギー補給する姿を見て目を丸くする担当者に「体力使う仕事ですから!がっはっは」と豪快に笑う。とってもパワフルな彼女に農場の話、そして授精師という珍しい職業についてもじっくり聞いてきました。
北十勝ファーム番外編 松林 実国さん
  • 授精師という職業を初めて知りました! 最初からこの職業を目指したんですか?
  • 七加 アイコン小さい頃から獣医なりたくて、行きたい大学があったんです。浪人もして挑戦したんですが失敗しまして、父親から「下に何人いるかよく考えてみろ」と言われて……(笑)。
  • 下に妹さん2人に、弟の圭豊さん、3人いらしたんですね。
  • 七加 アイコンそう。というわけで帯広畜産大学に農家の後継者が行く2年制の別科があって、そこに行ったんです。繁殖学の特別講義を受けたときに「なんて面白いんだ!」って興味を持ったんですよ。獣医の夢があったんですが元々農業が大好きで、そこからは離れたくはないなと思って牛の繁殖の方面に進みました。卒業後は稚内の民間授精所に就職しました。
  • 授精所ってのは民間じゃないところもあるんですか?
  • 七加 アイコン民間より農協や共済なんかの授精所が多いですね。で、そこの親方がとても技術が高いと評判だったんですが技術に対してはとにかく厳しくて、私もなかなかのあんぽんたんだったので2年間は泣きっぱなしでしたね(笑)。徐々に自信もついて結局6年半勤めましたが、その頃つきあっていた彼が転勤族だったので、寿退社をして転勤について回り、年を取ったら実家に帰って牧場の仕事をやりたいなーなんて考えていたんです。
  • あら計画より帰ってくるのが早かったですね。
  • 七加 アイコンうちの農場も転換期で肉の販売を始めていた時期なんです。実家に帰省するたびに父が、どこそこの有名レストランで肉を扱ってもらうようになった、テレビに取り上げられた、なんていい話ばかりするんですよ。
  • 赤身肉ブーム、熟成肉ブームが来てましたからね。
  • 音別農場の上田七加さん

    元気な七加さんがときどきアップしている、北十勝ファームのfacebookの動画。農場の様子が生で感じられて、とても面白い!

  • 七加 アイコン私も結婚してここにいなくても、パソコンを使えば事務仕事が手伝えるじゃないか!と考えるようになって。親方には本当にお世話になりましたがわがままを言って退職しまして……。
  • やった!これで幸せな結婚が。
  • 七加 アイコン ところがっ! 私も授精の仕事が面白くて彼のことを少しほったらかしにしてたこともあって、なんと「これで結婚できる!」と思ったときに彼との仲が壊れてしまったんです。
  • ああぁ〜七加さんショック〜。でも悲しいお話はここでおしまい!仕事の話に戻しましょう(笑)。えーっと、授精っていうのは精子と卵子をくっつけたのを牛の体内に入れるの?
  • 七加 アイコン あ、もちろんそういう受精卵移植という技術もあります。移植も私がいた授精所は日本トップレベルの受胎率でした。でも業務のほとんどは発情している牛に冷凍された牛の精液を注入する人工授精という技術です。
  • 畜産のことがわかってない上に、授精のことはもっとわかんないけど、ひょっとしてここでは授精士さんの仕事が無いんじゃ……。
  • 七加 アイコン そうなんです!せっかく身につけた技術が無駄になってるって言われたりね(笑)。短角牛でも可能ですが、人工授精にする意味はないですからね。ここではホンコウ。
  • ホンコウ?
  • 七加 アイコン 本当の本に交配の交で本交と言います。受胎率は圧倒的に……。

  • はい、はーい七加先生。人工授精の受胎率が高いっ!
上田 七加さん