肉を売るためには、いろんな知識が必要

肉を売るためには、いろんな知識が必要
  • 音別農場で牛を呼ぶ中村さん

    事務仕事が忙しいけれど、農場の現場仕事が大好きな七加さん。きもちのいい牧草地にかわいい牛たち。そりゃあ現場に出たくなりますね!

  • 七加 アイコン
  • いえいえ違います。本交のほうがずっと受胎率は高いんですよ。
  • え゛ーーーー、てっきり人工授精の方だと。
  • 七加 アイコン凍結精液はストロー状の容器に入れ、2回分の牛の射精でだいたい500〜1,000本を作るんですよね。凍結したものは大丈夫とは言っても半分くらいしか甦らないんです。
  • 人工の方が確実かと思ったら、圧倒的な差! ところで、冷凍食品をチンすると味が変わることがありますが、冷凍精液をもどして弱い子供が出来るとかそういうことはないんですか?
  • 七加 アイコン ああ、それは全く心配ありません。

  • じゃあ七加さんの今の仕事は?
  • 七加 アイコン経理・販売・広報・肉の発送、それに現場のヘルプに入ったりしますね。こっちに帰ってからは社長の仕事を見て覚えて、見よう見まねでやってます。
  • 牛のことはわかっていても、牛を売るってことはむずかしいでしょう?
  • 七加 アイコン牛は大きいですからね、肉の販売はもうパズルです。あちらにこの肉を売ったら、あそこにはここの部位。ロースはあそこに……!とかね。ちゃんと1頭分さばかなきゃいけないですから。その辺はやっぱり父がうまいです。秋に戻って来たんですが、翌年の春くらいには「あとはおまえがやっとけー」なんて言われて。
  • 七加さんは度胸がすわってそうだもの、だいじょうぶじゃない?(笑)
  • 七加 アイコン 上田社長に育てていただきながら……がんばってます。

  • 海のそばの音別農場の上田さん

    十勝地サイダー研究会で足寄地区を担当。足寄の神秘的な沼、オンネトーをイメージして、ブルーと木の香りが爽やかなサイダー。「天然色素のスピルリナを使ったら沈殿してしまって」という彼女だが、スノードームみたいな効果でキレイです!

  • また殊勝なことを言っちゃったりして(笑)。ところで、お肉や加工品は一般向けの販売はされてるんですか?こだわりのコンビーフとかローストビーフがあるとか小耳にはさみましたが。
  • 七加 アイコン まだ個人向けには販売はしてないんです。足寄町にふるさと納税していただければ手に入りますよ! 納得いく加工品を作るために静岡の加工業者で加工してもらったりしてます。ホントにこだわりですね(笑)。
  • ところで素朴な疑問です。肉牛を育ててると小さい頃からお肉たくさん食べてたんですか?
  • 七加 アイコン今は肉の販売もしてるのでスライス肉を入れたりしてますけど、それがなければ出荷したものを1頭まるごと買うことになりますからね、食べなかったです (笑)。
  • あ、そうか、お肉がとれるんじゃなくて牛を育ててるんだ。野菜農家さんみたいに「とれすぎちゃって毎日レタスだ」なーんてかんじで、しょっちゅうお肉食べてるのかと。
  • 七加 アイコンあはは〜違いますね。今は取引先になるべく顔を出して、うちから出荷したお肉が食べられるレストランさんに伺ったときにはなるべく食べるようにしてるんですが、お小遣いが続かないんで……。会社の広告宣伝費なんて一番削りたいところですし(笑)。
  • おいしさを引き出されたお肉を食べることは勉強になりますものね。 それに加工品をつくるヒントにもなるからどんどん食べちゃえば?
  • 七加 アイコン 現場が頑張ってるときに「姉ちゃんばっかうまいもの喰って」なんてなかなかできませんからね。肉の加工屋さんで修行でもすればいいんですが、なまじ現場仕事を手伝えるものだから、自分の仕事は後回しになっちゃうし。と言いつつ実は現場が好きなんですけどね。
  • 現場といえば、崖近くにいた子牛を助けに行こうとしたら母牛に突進されて、子牛じゃなくて姉ちゃんが崖から転げ落ちるかと思ったって、さっき中村・上田コンビがこっそり教えてくれましたが(笑) 。
  • 七加 アイコン あぁぁ〜そうなんですぅ。短角ってねすごく穏やかなんだけど、子供を守ろうとする本能がものすごく強いんですよ。もうね、超ショックで。少し過信してたのかな、すごく慣れてた牛なので本当にショック〜! 木がすぐ側にあったのでかわせましたが(汗)。
  • 七加さんは中村さんのように柔道じゃなさそうだから、水泳か、ソフトボールか?(笑)
  • 七加 アイコン 卓球やってました。
  • 牛用の膣鏡
  • 中村さんのこだわりグッズ 牛用の膣鏡
  • 授精所で使っていた膣鏡。これを使って人工授精をします。彼女がこの仕事に就いた頃はまだまだ女性の「家畜人工授精師」は少なく、7年間技術を磨き、認められるようになりました。この道具は彼女の誇り〜アイデンティティのようなものです。