渥美半島の石の間から

津田 卓巳  さん

津田 卓巳 さん

天恵グループ
1979年(36歳)
農家の長男らしく、高校卒業後すぐに農業の仕事に就く。父は天恵グループの代表を務める農業エリートだが、農業よりもお酒が好きか? キャベツ・セロリ・大根・カリフラワーなどを栽培。

2015.12.20
限界まで働いて、限界まで遊ぶ!

前回に引き続き、第21回は天恵グループのお話しです。「敏雄は話しが長いから(笑)」と評判になっていたグループ代表の津田敏雄さんは、有機農業について語りだすと終わりがありません。長男、卓巳さんは、そんな真面目なお父さんゆずりの真摯な姿を見せてくれると思いきや、そこはかとなく漂うやさぐれ感は意外性バツグンです。なんちゃってプロファイラーに元ヤン、それにやさぐれ農家、天恵グループは楽しすぎです!!! 田原市の農業について、津田家の有機農業について、いろいろ聞いてきました。(前回の井本さん・清水さんもちょっと登場)

  • 津田さんは高校を卒業してからすぐ農業の道に入られたんですよね。ご家族は……お子さんもいらっしゃいますよね?
  • 津田 アイコンうちは姉ちゃんが2人いて、長男のオレがひとり農家を継ぎました。22歳のとき最初の子が生まれて……中2と中1、4年生と、幼稚園の4人。
  • なんと! 子だくさんだし、お子さんが結構大きいんですね。
  • 津田 アイコン家族旅行に行ってて取材に来られなかった、杉浦くんちの子どもはもう高校2年生ですよ。すぐに継げますよね(笑)。
  • 高校卒業してすぐに農業って、何か他の仕事に就きたかったとかなかったんですか。
  • 津田 アイコンよそで仕事する気もなく。遊んで暮らそうかと思って、甘かったけど(笑)。今思えばよその仕事もしておけばよかったって。結婚も早かったし、子どももすぐ生まれたしでそのまま農業。
  • 畑の土とトラクターの歯

    上の写真のような土を耕していると、トラクターの歯はこうなります。使用前(下になっている黒い歯)に使用後(上に載せてあるとがった歯)を重ねてみました。ほとんど凶器のような歯になるため、頻繁に取り替えるとか。恐ろしい土、いや石だ!

  • ところで、ここの土はお祖父さんの代から土作りしてるんだから、少しは石が減ってると思ったんですが。
  • 津田 アイコンあ〜掘っても掘っても、ず〜っとあの状態ですよ。
  • 津田お父さんから「石は土になるまで3000年くらいかかるでしょ?何万年も積もってきた地層を何十年かで変えようったって(笑)」って言われて、納得がいったというか、そうでもないというか。元々、石だらけの土を変えようったって……。
  • 津田 アイコン土作りって言うけど、石は抜けないし、石は土にならない!
  • 無理でしょうか……?
  • 津田 アイコン無理。だから山から土を持ってきて入れたりするんです。あ、でもね、いいこともある! 雨でも仕事が出来る。

  • 水が溜まらないんですね?
  • 津田 アイコンそう、溜まらない。あれだけ降ったから明日休みかな〜って思ったら溜まってない!がっかり!(笑)
  • 「あんな土じゃやってらんねーよ」なんて思わなかったんですか?
  • 津田 アイコンあんなもんだと思ってましたよ。あれが普通だと。大人になって、よその産地を見て「おいおい、ウチらのとこだけだよ、あんなのは」ってやっと気づいた。
  • 気づくのが遅い(笑)。でも子どもの頃からそれしか見たことなければしょうがないか。
  • 津田 アイコン灌水設備が出来上がってここらは発展したんだけど、物心ついた時から畑には蛇口がついてましたからね。
  • 石だらけの土でビックリ。畑についた蛇口で二度ビックリなんですが。
  • 津田 アイコン水が抜けていくってことは、水溶性の栄養素もどんどん抜けていく。ところが流れずに溜まるものもあって、リン酸とかカルシウムがどんどん過剰になってくる。
  • ふぅーん。その余計な栄養素を抜いた肥料をまけばいいじゃん〜〜〜。
  • 津田 アイコンうふふふ。それはね、化学肥料って言うんですよ。有機の肥料にはそれはないんです。あっても、とんでもなく高価だったりね。
津田 卓巳 さん