米作ってると体がでかくなる?

片山 無 さん

片山 無 さん

無茶々園
1979年生まれ(34歳)
農業者大学校卒業後、都内で就職するが「自分を見失いそう」と地元に帰り就農。「何を始め出すか見当もつかない」ともっぱらの評判。

2013.7.15
農家なのにノマドに憧れる矛盾
第7回は愛媛県の『無茶々園』を訪問。『無茶々園」は全国でも有数の有機みかん栽培団体ですが、39年前「みかんの無農薬栽培を始めよう」と無茶を言い出したのが片山元治さん。今回は、その片山さんの息子、無(れい)さんを取材しました。
みかんの花の優しい香り漂うつづら折りをひたすら下っていくと、明浜の集落に到着。海岸のすぐそばまで迫る山はみかん畑、みかん畑…。なんでも「平らなところには家を作る。もったいないから畑なんか作らないよ」とか。海まで転がり落ちそうな急斜面の畑に脂汗をかきながら「ちょっと変わった農家」と評判の片山無さんにお話を聞きました。担当者待望の不まじめ農家の登場です。
  • 東京の農業者大学卒ですよね。地元を離れたのは農家を継ぐため、地元を離れたいから?
  • 片山アイコンいや〜なーんも考えてなかったですよ。明浜に高校はないので、実家を離れたのは高校からです。農業高校に入ったんだけど「ここで勉強して実家を継ぐんだ!」って頑張ってるやつらを「あいつら気持ち悪いな〜」なんて考えてたし…。農家を継いでる卒業生は今もいい友だちですけどね。
  • 「気持ち悪いな」とか言いながら、またどうして農業関係の大学に?
  • 片山アイコン大学は座学のみ理論だけです。ネオンはあるし、学費は安いし、畑はないし(笑)。4年のうち1年が研修で、資格を取ったり。研修は農業に限らなくていいんですよ。
  • 大学卒業後は地元に帰ったんですか?
  • 片山アイコンしばらく東京で勤めてたんです。でも入社したところが肌に合わなくて、やめてダラダラとした生活を…。信太さん(第1回に登場)のオヤジさんの一言「東京を味わえ!」という言葉で、思う存分東京を味わい尽くしました!
  • 無茶々の板さん(?)宇都宮さん屋台「ボヘミアン・ラプソディ」営業中!

    無茶々の板さん(?)宇都宮さんが獲ってきた、とれとれ魚介で屋台「ボヘミアン・ラプソディ」営業中! 集まった若手スタッフのほとんどがiターン組。すごいぞ無茶々園。

  • かな〜り都合のいい解釈だと思うけど(笑)
  • 片山アイコンそのへんの東京の人より美術館には本当によく行きました。それから、落語が大好きなので落語三昧。東京には何でも揃ってるからいいですよね。
  • ところで、肝心の農業のことは勉強したんですか?
  • 片山アイコン
  • 住んでいた部屋の一室を畑にしたんですよ。野菜からピーナッツまで室内でプランター栽培したんです。水と植物と人一人で循環できるんだろうかと。いやこれが大成功。自分のウ○コからホコリから、出るもの全部集めて循環させる。とてもいい発酵の勉強になりました(笑)。
    東京って害虫がいないんで思いのほかうまくいくんですよ。まぁ、ちょっと周りから受けないのでやめましたが。
  • 研究には間違いないですが、そういうのは大学でやってください。
    落語が好きで、美術館が好きで、実験は楽しい。じゃ、なんで東京を離れたんですか?
  • 片山アイコン東京には叱ってくれる人がいないんですよ。ダメになってくるのがわかるんですよね。東京の人は優しいんです。似たようなやつばかり集まるじゃないですか。満員電車も嫌だったし。もう帰りたくないやと思えばいくらでも泊まるところはあるし。
  • 「優しい」は「どうでもいい」と同じか……自堕落を極限なく許される東京を離れて「農業をやるんだ!」って180度転換したわけじゃないですよね?
(7) 無茶々園 片山 無 さん