父のやり方、息子のやり方


父のやり方、息子のやり方
  • 代表の井本敏雄さん

    「有機農業って一言で説明できるものじゃないですからね」という敏雄さん。話が長くなるから気をつけろ!と注意されてましたが、お父さんの話はとても面白いんですよ

    • 内容はどうあれ一緒に遊べる地元の仲間がいるから、ストレス発散ができてるんですね。話は変わりますが、このあたりは新規就農者とか受け入れてないんですか?
    • 津田 アイコン土地もないですしね。耕作放棄地なんて全くないし。日本一畑の値段が高いんです。1反400万する。新規でそれをまかなえるだけの売上げは立たないでしょ?
    • ひえ〜そりゃ無理だ。新規就農者に思うことは?
    • 津田 アイコンここらは入植の時、1町半くらいもらったんです。今の就農者って手に入れられる土地が少なすぎると思う。それに農業を始める時の初期投資ってバカにならないんですよね。うちは3代やってるからこそ、ハウスだったり機械だったり、揃ってますからね。そのアドバンテージはかなりあると思いますよ。
    • 畑や倉庫だけじゃなくて、育苗用のでっかいハウスに、何台もあるトラクター、立派なご自宅……津田さんちってすごいです。
    • 津田 アイコンいやいや、みんなのところもこんな感じ。

    • その下地をつくった、おじいちゃん、お父さんに感謝しなくちゃ。お父さんは真面目そうですよね〜。話は長いそうだけど。
    • 津田 アイコンらでぃっしゅぼーやのお気に入りの担当者さんが来ると送っていくんですが、近くの停留所までのはずが遠〜くの駅まで、2時間以上かかったりしてね。話に夢中になると車のスピードが30kmくらいになるんですよ。後にすっごい渋滞作りながら(笑)。
    • 津田卓巳さん

      熱〜いお父さんと違って卓巳さんはかなりシニカル。二人の対比がはたから見ていると、とても面白い

    • 息子が話を聞いてくれないからだ。有機農業を語るお父さんは熱いですよね。息子はさめてるけど(笑)。
    • 津田 アイコン自分の子どもには農業をやらせないかもしれないですね。
    • でも、やりたいって言ったらやらせるんでしょ?
    • 津田 アイコンいやー、やらせないな〜自分と同じことはね。本当にやるなら、自分で最初から勉強してだな。僕は親の言うとおり、言われるがままにやってきたからね、何も考えないでやっていたし。だから、もしやるんなら慣行農業も一回経験した方がいいんじゃないのかって思う。
    • そういうもんなんですか。
    • 津田 アイコン「土壌消毒はよくないんだ」って言っても、実は話が出来ない。やったことがないんだから。
    • 有機農業しか知らないっていうのが良いこと、幸せなこと、なーんて考えてしまいますが……そう単純なことでもないんですね。じゃあ、農業やってなかったら何になってました?
    • 津田 アイコン飲み屋かな〜。缶詰並べた缶詰居酒屋だな。

    • みんなが、「卓巳は酔っぱらうとどこでも寝ちゃうから」って心配してましたよ。農業を引退したら缶詰バー開店ですか。
    • 津田 アイコン世界中の缶詰とカップラーメンで!

    • 店の酒を飲みまくって、気がつくとJAのフォークリフトの上で寝ている、に1万ペリカ〜!それより天恵グループの次の代表を継がなきゃ!
    • 津田 アイコンいやいやいやいや〜そんな柄じゃないし。家は継ぐけどグループはね〜。今日来ていない2人のうちどちらかが代表になるでしょう。
    • 親が拓いていった土地を引き継ぎ、有機農業を模索し続け、打ち込んできた父の敏雄さん。生まじめな父の昔ながらの農家スタイルには、卓巳さんは同意できない部分もありそう。
    • 耕す音は?

      交換したトラクターの歯を見れば想像はつきますが、こんな土を手で耕していったお爺さまたちは本当にすごい! なんでも開拓当時は、野菜がすぐに育つはずもなく、切り倒した松を細かく切って売りながら食いつないでいたとか……。いやぁ、すごい話だ。

    • 親として意見もしたいけれど、やることはやってる息子に、頭ごなしに文句も言えず……。この微妙な距離感にニヤニヤする担当者でした。二人が腹を割って話が出来るまでにはもっと時間がかかるのでしょうが、おいしい野菜はちゃんと育つでしょう!
    • (2015年8月23・24日取材)
    次回は那須よっかっぺ村の益子巧さんを取材します。
    津田 卓巳 さん