怒って育てる人材育成は効率悪いです

怒って育てる人材育成は効率悪いです
  • 若手の大倉さん

    ニコニコ作業中のバリバリ若手大倉さん!

  • 下山 アイコン 有機栽培は慣行栽培みたいに土壌消毒ができないので回転率は悪いですけどね。知らない人は野菜の平均単価の高い有機農業の方が儲かると思ってるみたいだけど、草取りの人件費とか回転率の悪さとか考えると慣行栽培と変わんないっすよ。
  • 肥料は割高だし、草取り大変だし、金額変わんないし。下山さんも有機やるからには理念なんてのがあるわけでしょ?
  • 下山 アイコン最近かな、感じ出したのは。最初に「金を出してやるからやってみないか」と言われたんですが、慣行だの有機だのわかんない状態でしたからね。「あ〜やられた〜」って後で気がつきました(笑)。現在は全て有機JASの認証をとって栽培してます。 認証をとるのにお金がかかりますし、認証を取ってないけど無農薬なんて人もたくさんいますからね。毎年更新しなくちゃいけないけど、うちはグループで負担してもらえるので。
  • そういうところは、やはり団体に入っている強みですよね。そうそう!「土壌消毒って絶対やっちゃいけないわよね〜」なんて知ったかぶり言ったりするワタクシですが、そもそも土壌消毒ってどういうことするの?
  • 下山 アイコン液体を注入して土の中でガスを発生させるんですよ。機械で等間隔に打ち込んでいく。そうすると悪い菌とかが死んじゃう! 大気汚染、水質汚染もあるし、目なんかに入ったら失明するような劇薬ですね。野菜に残留の可能性も。いい菌も死ぬからまた肥料入れて……悪循環と言えば悪循環ですよ。中には耐性持っちゃう菌もあるだろうし。
  • コンテナのニンジン

    洗われたニンジンで、さんぶ野菜ネットワークのコンテナがどんどん埋まっていく。

  • ガスだなんて知らなかった。吸っちゃうとの肝臓にも悪そうですね〜。
    ところで何か挑戦してみたい野菜はありますか?
  • 下山 アイコン有機の大玉トマトがやってみたいですね。大玉は病気が出るし難しいんですよ。難しいと挑戦してみたくなります。ニンジンにしても、10アールで6トン収穫するってのはなかなか難しい。5トンと6トンの間に大きな壁があって、そこも気になります。
  • あっそうか。味の良し悪しも当然あるけど、収量ってのも重要な要素ですものね。下山さんは「○○の下山」とか言われたい?
  • 下山 アイコン食味なのか収量なのか糖度なのか……、どれでもいいから一等賞を取りたいですね。

  • 下山 奥さんアイコンちょーーーーーー負けず嫌いで、クイズ番組でも「どっちが勝つか競おうぜ」とか言い出すんですよ。も〜うめんどくさい。何事にも勝負!(笑)
  • あはは。じゃあ将来はニンジンの第一人者になるのが夢ですか?
  • 下山 アイコン人を育てていきたいです。職人って出来ない子は怒るじゃないですか、怒って育てるみたいな。今の子は怒るとやめちゃう。「ああ、怒って育てるんじゃないんだな」って最近わかって。農業を教えたいんなら怒るんじゃなくて、ちゃんと教えてあげなきゃと、こっちが変わろうと思いました。社員の角田くんを指導してみて、徐々に成長していく彼を見て、こうやって育てていくんだなって段々わかってきたんです。会社もある程度軌道に乗ってきたら、会社を大きくすることより指導することに専念していけたらなって思ってます。
  • 「てめーそんなことモタモタやってんじゃねぇ(怒)」とか言いそうなのに。
  • 下山 アイコン そんなんだったんですよ。でもそれじゃダメなんだなって気がついて。だって売上げにも関わってきますからね。
  • ここはサハラ砂漠なのか?

    これが隣の八街市で吹き荒れる「やちぼこり」とかいうものなのか? もうサハラ砂漠でイムホテップが襲ってきそうな映画ハムナプトラ状態でした! でもその吹き荒れる土はフカフカでとても良い土なのです。

  • ワカモノの中には元ヤンです!って風貌の人も多く、下山さんもいまだにその匂いを残す生産者(笑)。負けず嫌いで昭和の頑固オヤジっぽいのに(彼は平成育ちですが)、実はかなり柔軟な考えが出来る人でした。下山さんの元でたくさんの若手生産者が育つことを祈っています。
  • (2017年1月27日取材)
事情により、昨年取材の内容を1年以上たって掲載となりました。年齢などは取材当時のものです。
次回は近々に女性の生産者を取材に行く予定にしています。
(30)さんぶ野菜ネットワーク 下山 修弘さん