これから挑戦!「おいしさの物差し」づくり

これから挑戦!「おいしさの物差し」づくり
  • 寒がりの五十川さん

    晩秋の東北にもかかわらず天候に恵まれた若者集会。ポカポカ陽気の中「寒い寒い」と一番うるさく、一番厚着だった五十川さん。氷点下20度にもなる十勝に住みながら、実はものすごく寒さに弱いことがバレてしまいました。

    • ところで、ずっとニコニコお話される五十川さん見てると、農業好きなんだな〜って思いますが。
    • 五十川 アイコン大好き〜。ほんといいわー。仕事自体は辛いなとか思う時もあるよ。でもね、こんなことがあって。大牧農場でイモの食べ比べってやるんですよ、大牧の生産者以外も集まって。そうすると子供が「これ、お父さんのイモだ!」ってちゃんと言い当てるんだよね。うふふふふ。
    • ああ、それはなにより嬉しい瞬間だ。
    • 五十川 アイコンあとね、教育って大事だよね。アメリカの「フード・インク」って映画を子供に見せたんだけど「お父さん、もうおれハッピーセットにはごまかされないよ」だって(笑)。とか言って「その代わりモスバーガーに連れてって!」だってさ。Radixの会でもおなじみの野菜くらぶさんとか大牧農場の農産物も入ってるのを知ってるからなんだけどね。
    • そんな息子さんは継いでくれそうですか?
    • 五十川 アイコンどうなんだろうねー。イソカワファームを株式会社にしたのは、俺の意志を継ぐ人がいれば息子じゃなくてもいいと思ってるからなんだけど、できるなら継いで欲しいなぁ〜。
    • 五十川さんのように「継ぐんだろうなぁ〜」って思ってるかも。
      ところで今後なにかやりたいことってあります?
    • 五十川 アイコン北海道で植物共生微生物の研究をされている農研機構の池田成志先生という方がいらっしゃって、例えばイチゴやリンゴの香りは微生物がいないとあの香りは出ないとか、栽培条件で農作物の微生物の量が変わってくるとか。それっておいしさを計測するものにならないかと。来年(2014年)からおいしさの物差しづくりに大牧農場でアプローチしようかと思ってるんですよ。
    • ああ、それは面白い。客観的な数値でおいしさを表すってことですよね。
    • 五十川 アイコン今までの有機野菜は作り手の思いとかそういうもので測っていたでしょ?それってあやふやじゃない。もちろん産地に来て食べて、おいしいっていうのも大事なことなんだけど、今は情報があふれてるのに若い子たちが田舎の野菜を食べる機会がないよね。そういう子たちにもおいしさを伝えられる数値が出来たら何か変わるんじゃないかな。
    • 福島県相馬の海岸地区にて

      いつもにこやかでおだやかな五十川さんも、震災直後と錯覚する相馬海岸地区(規制区域)には表情がこわばっていた。はびこる雑草の海に浮かぶ船が何艘も。

    • 実現を楽しみに待っていますね。イソカワファームの今後についてなにか。
    • 五十川 アイコン十勝の農業はね、土地だったり車庫だったり、減価償却の終わった機械や見えない貯蓄だったりする先祖が積み重ねていったもの、それがあるから畑が作れるのさ。やめたところでもう一度始めるとか、新規就農が難しい土地だから、農業従事者を増やすことを考えてるんだよね。そのための株式会社だし、ここの土地は絶対荒らしたくないからね。
    • わざわざ感謝の言葉を口にはしない五十川さんですが、お祖父さんお父さんが積み重ねてきたものの重みをしっかりと受け止めていることが、ひしひしと伝わってきます。お父さんには「いまだに『これでいいんだっけ?』って確認するよ」と言いながら、栽培技術に関しては確かな自信を持っている五十川さんです。
    • ワイルドな十勝の開拓方法

      切株をぶっ飛ばすダイナマイトを小学生がなぜかゲット!小学校に持って行って大騒ぎになった話は有名らしい。十勝の開拓方法も小学生もワイルドだ。

    • おいしさの物差しを作ろうというアプローチは目新しさではなく、今後の日本の農業も見据えてのこと。是非とも実現してください!
    • (2013年11月22日取材)
    福島で開催された若者集会も大成功! 次回候補のワカモノが多くてなかなか決定しません。
    (08) 有限会社 大牧農場 五十川 賢治 さん